根面う蝕、くさび状欠損の9割に歯周病のリスクがあります。

   

根面う蝕、くさび状欠損の有病部位の9割に歯周病

近年、高齢者のう蝕は残存歯数の増加に伴って増加し、歯と歯の間にできるう蝕のほかに、歯の治療を行った詰め物の隙間からう蝕が広がる「2次う蝕(再発むし歯)」や、歯周病や加齢などによって歯肉が退縮し、 歯の根面が露出した部分に発生する「根面う蝕」が大きな課題となっています。

40代を過ぎると虫歯よりも歯周病や、噛み合わせの影響で歯が欠けることが多くなり、その主な場所として歯の根元(歯頚部)にくさび状の欠損が多く見られます。
またこの場所はケアがしづらく虫歯にもなりやすい場所なのです。

佐賀でも高齢化が進んでおり、将来のリスクを見据えて今回特集しました。

根面う蝕と歯周病の重症度、50歳代以外では関連見られず

根面う蝕有病率、根面う蝕重症度と歯周病重症度の関連性を調査した結果、根面う蝕有病率は、全体の50%であり、30歳代の7.7%から年齢が高くなるにつれ増加し、80歳代が70.0%で最も高い結果でした。


また、根面う蝕有病部位の約90%に歯周病、もしくは歯周病既往歴が確認されたことから、歯周病により歯肉退縮が起こり、根面う蝕になるリスクは高くなります。

その一方で、根面う蝕と歯周病の重症度については、50歳代以外では相関が見られません。
これらのことから、根面う蝕や歯周病が発症する前に、根面う蝕予防と歯周病予防を併せて実施することが最も大切だということが分かりました。
当院でも、これをもとに治療にフィードバックしていきたいと思います。

根面う蝕とは?

歯ぐきの退縮により露出した根面に発生するう蝕のこと。
高齢者に特徴的なう蝕。
簡単に言うと、これは、歯肉炎や歯周炎などによって歯ぐきと歯の間にすき間ができ、歯の根っこ近くに起きるむし歯です。
なぜこの部分に虫歯ができるのかというと、人は年齢とともに徐々に歯茎が後退してゆく傾向にあります。
「あれ、歯が長くなったのかな?」と感じる方もいるかと思います。

もちろん歯が長くなることはなく、歯茎が後退したことによって根面がむき出しになっただけなのです。
根面が出る理由は年齢的なものに加えて不適切なブラッシングにあります。

歯ブラシを握るように持つと余分な力が入り過ぎるので、長年の習慣により少しずつ歯茎が削れることがあり、虫歯を除去しようと熱心になるあまり、ゴシゴシと強く磨いてしまうと歯茎が傷ついてすり減ってゆくのです。
むき出しになった根面は再石灰化するこはないので、虫歯になりやすく、なおかつ進行しやすいのです。

別の要因として注意したいのが歯周病による影響です。
歯周病が進行してゆくと歯茎も下がってゆくので、根面う蝕になりやすいです。
その他にも、差し歯(義歯を被せた部分)を作った時点では歯と歯茎の隙間はなかったものの、時間の経過とともに歯茎が後退することがあります。
義歯と歯茎の隙間はブラッシングしづらい部分でもあるので根面う蝕になりやすい部分です。
また根面う蝕は、自然治癒はほぼ期待できません。
根面う蝕は、歯髄腔に近接した位置から脱灰が始まるため、進行するとすぐ歯の神経に到達してしまう恐ろしい虫歯です。
さらに、深部に向かって進行するのみならず、側方へも進行することから、根面が全周にわたってう蝕に侵され、歯根が折れ歯冠がまるごと喪失して抜歯になってしまう例も多々あります。

 

根面は知覚過敏になりやすい

また根面には象牙細管と呼ばれる管が無数に点在し、歯の神経と外界とを結ぶパイプが多くあります。

象牙細管にはセンサーがあり、水や空気などの刺激に反応します。

これにより象牙細管が多くある歯根露出した場所は知覚過敏の多発地帯でもあるんです。

根面は噛み合わせの影響を受けやすい

歯の噛み合わせによって歯の根元のエナメル質が欠ける現象をアブフラクションと言います
根面う蝕は虫歯になりやすいだけでなく噛み合わせの力にも左右されます。

強い力を受けると歯頚部(歯の根元)の歯が大きく削られ虫歯のリスクが高まります。

根面う蝕の疫学

  • 根面う蝕は小児や青少年には見られない。
  • 成人のう蝕であり,決して高齢者特有のものではない。
  • 高齢者の現在歯数が増加傾向にあり,高齢者のう蝕は増加している

根面う蝕(歯肉退縮)発症の原因と背景

歯肉退縮 (CEJ,歯肉の根尖側移動):歯肉退縮の原因は主に歯周病である。 また,ブリーディング,歯周ポケットの深さ,プラーク付着量が多い場合は 歯肉退縮のリスクは大きくなる。 歯根露出による歯の脱灰のリスクになります。

角化歯肉幅(付着歯肉幅)の減少:角化歯肉が少ない部位ではブラッシングが困難と なることからプラークコントロールが不良になりやすく,その結果として, 歯肉退縮のリスクが増大する。

薄い歯肉:薄い歯肉は,厚い歯肉よりも歯肉退縮のリスクとなる。

小帯の位置異常:小帯とは口のヒダみたいなものです。小帯の位置異常はブラッシング不良の原因となる。

咬合性外傷:咬合性外傷が歯肉退縮の直接的な原因となるかは不明です。 しかし,歯槽骨の厚さが薄い場合,歯肉退縮の原因となることがあり、くさび状欠損やアブフラクションの原因となることがある。

歯の摩耗:不適切なブラッシング法による歯の摩耗,アブフラクション,く さび状欠損 ・歯の位置異常:歯の位置異常はブラッシングが困難となる場合が多く,歯肉 退縮の原因となる。

歯槽骨の裂開:頬側の歯槽骨が薄く裂開がある場合は歯肉退縮の原因となる。

加齢:歯頸部の摩耗,唾液流出量の減少,歯肉退縮,口腔乾燥症の発現

ブラッシング法が悪い:不良なブラッシング法などの機械的な外傷は歯肉退縮の原 因となる。近年は電動歯ブラシの不適切な使用なども原因となることがある。

食習慣(pH):酸蝕症;酸性度の高い食品を好む,習慣化して採取する。

細菌叢のリスク:歯周病原菌と根面う蝕の細菌叢は異なる。

喫煙:喫煙は歯周病,う蝕のリスクファクターである。

根面う蝕を有する歯の特徴

  1. 歯髄腔の狭窄 ・加齢に伴う第二・第三象牙質の添加 ・髄腔内歯髄の石灰化 → 象牙質粒の存在 ・大臼歯根管口の近接 → 下顎大臼歯の H 型歯髄腔 ・根管の彎(湾)曲化
  2. 歯髄の退行性変化
    ・象牙細管の走向に沿った象牙前質の破壊 ・象牙芽細胞層の萎縮・空胞形成
  3. 根尖部セメント質の添加 ・根管の石灰化 ・根尖孔開口位置の変化 ◎歯髄の退行性変化のため,検査や治療への反応性が弱い。

根面う蝕の予防について

根面う蝕の予防としては、まず根面部は柔らかい象牙質が占めるため普段使っている歯ブラシよりもやや柔らかめで毛先の細いものをお勧めします。
一般のむし歯や歯周病の場合と共通のことですが、ご自身のブラッシングと歯科医院での定期健診が有効です。
詰め物や被せ物は、天然の歯に比べてどうしても汚れが付きやすいので、いっそう丁寧に磨く必要があります。 歯根部分の歯垢を取り除くには、歯間ブラシなどの補助器具も役に立つでしょう。

定期健診では、歯のクリーニングだけではなく、自分では気づきにくい隠れたむし歯を発見できることも多く、早期治療が可能となります。



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